西表のマングローブ
マングローブとは
マングローブとは、川の汽水域を中心にして、上流の淡水域から海岸までの
普通の植物が育たない塩分のある湿地や干潟に生育する樹木や林の総称です。
広い意味では、マングローブ林を形成する植物全てを指す場合もあります。
西表では河川の汽水域にはマングローブ林が発達していて、
代表的な景観の一つです。
それらのマングローブは、八重山を実質的な北限とするものが多く、
仲間川下流域には、オヒルギ(ヒルギ科)が主体の日本最大の
マングローブ林が広がっています。
オヒルギ(ヒルギ科)〔アカバナヒルギ〕
花 膝 根 胎生種子
最も多く最も高くなる、マングローブの代表種
奄美以南に生育するが北に行く程生育が劣る
淡水域から汽水域にかけて多く見られるが、
最も淡水域近くに生育し、分布が広い。
根は膝根と呼ばれ、折れ曲がった奇妙な形状を露出している。
枝は水平状に広がり層状になる。
花は周年開花するが、春から夏に多い。
胎生種子の先端は丸くヤエヤマヒルギに比べ短く赤見を帯びる
胎生種子は近年台風の影響か余り見られない。
ヤエヤマヒルギ(ヒルギ科)〔オオバヒルギ、シロバナヒルギ〕
花 胎生種子 樹 形
沖縄以南に分布オヒルギに次いで多い。
海から海水に近い汽水域に生育
幹や希に枝先から支柱根と呼ばれる気根を出す。
花は周年開花するが、春に多いようだ。
胎生種子は最も長大で先が尖り皮目が見られる。
樹形は円錐状や球形の樹冠を有する。
メヒルギ(ヒルギ科)
花 胎生種子
成長が遅く樹高も低く、マングローブ林の最前列に
位置する事が多い。毎年のように、胎生種子を着ける。
花は、胎生種子の落下後7月頃開花する。
最も耐寒性があり、屋久島や鹿児島(植栽?)でも希に見られる。
幹は、赤褐色で板根状突起ができ、樹皮は剥げやすい。
ヒルギモドキ(シクンシ科)
花
西表では、最も陸寄りに生育し、樹高も低い。
熱帯では、この仲間は巨木になる。
葉はやや多肉葉。花は5月頃より開花し寒くなるまで小数開花する。
特徴的な気根はなく、マングローブ植物であることが分かり辛い程だ。
ヒルギダマシ(クマツヅラ科)
花 種子(半胎生種子)
海水域の最も先端の干潟に生育する事が多く、低く庭木状に丸く育つ。
マングローブ林の中では、2m程の樹高になることがあり、丸くならない。
開花は、6月頃小さな目立たない花を開く。
種子は、半胎生種子と呼ばれ、樹上や落下後、数時間以内に発芽して、
根を放射状に延ばし始める。
根は、細い箸状の気根を幹から放射状に1列に発生させる。
葉の裏の気孔から、塩分が出ることが、知られている。
マヤプシキ(ハマザクロ科)〔ハマザクロ〕
花 実 筍 根
実質的な北限が、西表島の南部で、汽水域を中心に分布し大木になる。
根は、筍根と呼ばれ、木の遙か遠くまで林立し、木の存在を知らせる。
花は、夜間開花するが、気温の低い冬季には翌朝まで開花に要し、
昼間でも、花が見られる。
葉は、やや多肉質で厚みがある。
その他のマングローブ
ニッパヤシ(ヤシ科)
熱帯域では代表的なマングローブ植物だが、
西表では、船浦湾と内離島に僅かに生育し、
西表での繁殖は栄養繁殖のみと見られている。
夏場、臭いの強い花を咲かせるが、詳しい事はよく分らない。
サキシマスオウノキ(アオギリ科)
板 根 実
準マングローブ植物に分類される。
川沿いの淡水域の湿地に生育する。
奄美以南に分布する。
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